55年で、はじめて!

8月26日に救急車で運ばれ入院した母が幸い順調に回復。

 

父が脳梗塞で話すことが出来なくなり

介護施設に入ってまるまる1年間が過ぎようとしていた。

その間、母は雨の日も風の日も2日に1回バスを乗り継いでその施設に通っていた。

90歳近くにもなる母の体には、酷なことであることは百も承知。

 

何度も何度も1週間に1回ぐらいにしたら?せめて、1週間に2回ぐらいにしたら?

(特に今年の夏は、

猛暑で、健康で若い人にとってもかなりこたえたシーズンであった。)

と伝えたが譲れなかったのだろう。

 

その理由は、明解で

『行ったときのお父さんの笑顔みたら毎日でもいってあげたい!』であった。

こればかりは、いくら息子でも・・・。それ以上は。

 

そんな中、昨日、母の病院から外出の許可を得た。

本人も比較的元気、でも、2週間ぶりの外出となる。

私たち兄弟2人がかりで最善の注意を払い、

母を父の介護施設に連れて行った。

 

顔合わせるなり、父母は蔓延の笑みで再会。

母が父に来られなかった事情をゆっくりと話し出す。

(私も先日、父に伝えたが・・・、その時もびっくりはしていた。)

すると、父の顔はどんどんとくもり、悔しい表情でうつむき加減、

そして、父の目からは一筋の涙が流れ出す。

はじめて見る父の涙。

失語症であってもある程度は、聞き取れる。

そして、どれほど理解できたかは私にはわからないが、

あの父が涙を流した意味は、なんとなく私にもわかった。

 

母が説明する状況は確実に父に伝わっている、そして、父は

歯がゆかったのだろう、何も母にしてあげられない自分に悔しかったのだろう。

母に何度も何度も「ごめんな、何も出来なくて、本当にごめんな!」と

伝えたかったのだと思う。

 

60余年寄り添う老夫婦の会話に色々と教えられた。

ほんの1時間程度だったけど父母にはよい時間になったのではと思う。

 

そう、昨日は敬老の日。